〜FUEL&EXHAUST〜



FUEL AND EXHAUST SYSTEMS:燃料、排気装置

 

 230SLの燃料タンク、燃料ポンプ、燃料ホースそしてインジェクションシステムという構成は190Eとほぼ同じである。燃料ポンプに接続するホース関係は全て真新しいホースに交換されていた。

マフラーはエンド部分は純正番号がまぶしい新品が装着されていた。そのほかの構成パイプも錆びはなく、シルバーで塗装されていた。この辺りもかなり気合を入れて整備されているので、当面大丈夫な気がする。少し心配だったのは、3年まえの大整備から、僅かに500キロしか走行していないために、燃料タンクの錆やそれによるポンプの故障が走行し始めると出てこないかということだった。しかし、もし、3年前に燃料タンクの交換までされていたら、3年でボロボロにさびるというのは無いだろうとも思う。この辺は、簡単に開けて点検するわけにいかないので、運を天に任せて、まあできる事は燃料タンクをできるだけ満タンにしておくことと、ちょくちょく走行してガソリンが古くならないようにすることぐらいである。

 

 

過去の整備記録によると、センターマフラーは1985年、2004年に新品交換。リアマフラーは1985年、1990年に新品交換の記録がある。

写真は2009年撮影。


掲載項目

 

T.燃料関係

 1.燃料残量計の警告灯発見(2013/10

 2.ガソリンタンクキャップシール交換(2014/6)(2020/12)

 3.燃料ポンプと燃料ホース交換(2021/7)

 4.燃料ポンプ継ぎ手ガスケットからのガソリン漏れと燃料ポンプのショートについて(2021/8)

 

U.排気管系(吸気系を含む)

 1.マフラー点検(2013/12


T.燃料関係

 1.燃料残量計の警告灯発見(2013.10

 W113の運転席の燃料残量計に警告灯があるらしいというのを知り、それが機能しているのかを調べた。いままで、燃料計の下端は赤色でペイントされているだけで、そこに電球が入っているようにはとても見えなかったので半信半疑だった。燃料タンクのフェールセンダーユニットという残量測定装置のコネクターを外して、警告灯への配線を短絡させてみたら、見事にこれまでただ赤色でペイントされていると思っていた赤い■が光った。それで、警告灯がついた状態でどれくらい残量があるのかをテストするべく、警告灯がつくまでガソリンを使ってみた。しかし、警告灯がついて10キロも走行しないうちに坂道でエンジンストップしてしまった。警告灯がついてからの給油では危険という事を思い知らされることになってしまった。

 警告灯がついて数キロ走行でガス欠ストップした時に、給油できた量は携帯ガソリン缶9リットル+すぐに近くのスタンドで満タンにした量42.72リットル=52リットル。1966年製造モデルのためタンクの容量は65リットルなので13リットルも残量があるはずなのに、エンストすることがあるのだろうか。というわけで、警告灯は性格に機能しているものの、1/4以下になったら、早めの給油が無難という結果になってしまった。

 

中央の計器、左上が燃料残量計である。下端には赤いがある。大きさはその上の白いと同じで、とても電球が仕込まれているとは思わなかった。

 

赤いが綺麗に光っている。

 

フェールセンダーユニットのコネクター部分。燃料漏れや錆もなく、良い状態だった。

 

平べったく、低面積のあるタンクの形状であり、燃料ポンプへの出口は前方にあるため、上り坂だとガソリンが後方に偏ってしまい、ポンプにガソリンがいかないのかもしれない。

 


ついてでに燃料ポンプの漏れが無い事も点検した。

 

2.ガソリンタンクキャップシール交換(2014.6)(2020/12)

 ガソリンタンクのキャップが変形していたのが気になっていたので交換した。
 シールは専門店でW113や縦目ベンツ専用品で送料込みで820円だった。

黒いゴム製のシールが古いもの。写真の912時位置が変形している。

新しいのはコルク製。ちなみにこのメッキのゴージャスなカギ付きキャップは34万円もするらしい。

2回目交換(2020/12)
右後ろのバンパーにガソリンが漏れたような形跡があったため、燃料タンクキャップパッキンを確認したところコルクが劣化しひび割れが多数あったため二回目の交換を行った。
ディーラー経由で手配したパッキンは、やはりコルク製であったが、タンク側の面に黒いコーティングがされており耐久性が改善されているようだった。
部品番号110 471 02 80。価格は610円。

 

3.燃料ポンプと燃料ホース交換(2021/7, )
 このクルマを手に入れた当初から、エンジンをかけているときにガソリン臭い気はしていた。しかし、見渡してもガソリンが滴り落ちているところを見つけられていなかったため、排気ガスの臭いがきついのだと思っていた。ガソリン漏れが見つかったのは偶然の事だった。普段よりもその日はよりガソリン臭が強く感じて、燃料ポンプのケース下にある穴に手を入れてみた所、ベットリと赤いガソリンが指につき、燃料ポンプ部分からのガソリン漏れが見つかった。漏れたガソリンはケースの底に溜まって、蒸発してしまい、下にまで滴下してこないため、指を穴に入れて触ってみなければ分からない。

 W113、230SLの燃料ポンプは、金属製のケースで全周を厳重にカバーされている。(後の250SL、280SLではケースは半周だけになり燃料ポンプの点検が容易になっている。)そのため、燃料ポンプのどこから漏れているのかが全く見えない。燃料ポンプにつながるホースは穴から辛うじて目視でき、ホース部分からは漏れていない感じだ。



筒型の全周型燃料ポンプ保護ケース。横に二つ穴(燃料ホースの出入口)、下に一つ穴(ガソリン漏れ時にケース内に溜まらないための穴と思われる)がある。


この保護ケースを取り外すには、燃料ホースを取り外す必要がある。出力側パイプを傷つけないために、ケースを支えながら作業する必要があるため二人で作業した方がよい。
<燃料ポンプ保護ケースの外し方>
@出力側(エンジン側)燃料ホース(上記画像の左に向かうホース)をホースクランプで遮断してから、ホースバンドを外しておく。
A保護ケースを車体に固定しているボルト二つを外し、ケースが固定されていない状態にする。
Bケースをずらして、出力側のパイプにメガネレンチをかけてパイプを取り外す。
Cケースをずらして、入力側(燃料タンク側)燃料ホースをクリップで遮断してから、ホースバンドを外す。

保護ケースを外し、再び入出力燃料ホースを取り付けて、燃料ポンプを作動させると、ガソリンが漏れている場所が明らかになった。


燃料ホースにホースクランプをかけて、ポンプケースのボルトを外している様子。


燃料ポンプのオーバーフローパイプからガソリンが3-5秒に一滴滴下していた。

 230SLに使用されているロングスタイルの燃料ポンプは内部の構造が、後の250SL以降で使用されるショートスタイルの燃料ポンプよりも内部構造が複雑なために、オーバーフローからのガソリン漏れの場合は修理が難しいとされている。
 オーバーフローから漏れているという事は、回転シャフトを伝ってシール構造を突破して、下のプロペラ部分の部屋から、上の部屋に燃料が登ってきている。
 ロングスタイルポンプではベーローズシールという蛇腹状の特殊な部品がシール構造に含まれ、この部品は新品の部品が出ない。ベーローズについては、状態の良い同ポンプから移植するしかなく、極めて貴重で、中古のベローズの部品はまず市場には出てこない。W113フォーラムの記事によれば、このベーローズ部品の製作を試みて製造工場に依頼した人もいたが、製作困難と断られたようである。
 (ショートスタイルポンプでは、Oリングとワッシャーでこの漏れをシールする構造であり、部品は容易に入手でき、修理は日本国内あるいはDIYでも可能である。)



 この燃料ポンプの修理を引き受けてくれるドイツの専門修理業者に修理依頼した。
 二か月かかって、送られてきた燃料ポンプは外観は新品同様になっていたが、取り付けるとオーバーフローからの燃料漏れは治っていなかった。専門業者でもなかなか修理が難しいという事がこれでよくわかる。DIYでやるのはほとんど不可能だろう。
 更に1か月程待ち、代替品を送ってもらって、修理は完了した。
 燃料ホースは、3本(燃料タンクとポンプ間、ポンプとエンジン間、エンジン側とタンク間(リターン))
とも交換した。
 燃料ポンプへの配線保護カバー二つ、マウントゴムブッシュ三つも新品部品で交換した。


 <費用>
フューエルポンプ オーバーホール代 \120,000
フューエルポンプ オーバーホールキット \6000
配線保護カバー*2 \900
ラバーマウント*3 \2010
フューエルホース(リターン) 8mm*30cm \1200
フューエルホース 11mm*100cm \2340

送料 \2480 (2回分)
合計(税込) 148,423




燃料ポンプは、円形のゴムブッシュ
を介して、丸い金属ブランケットで支えられる。


燃料ポンプは、丸いブランケットで支えられた上で、さらにこの十字型のブランケットを介して、3つのゴムブッシュで宙刷りになり車体に固定される。


ゴムブッシュも劣化していたので新品交換した。


配線の防水カバーも劣化硬化していて、外すときに破損したので、新品部品で交換した。この防水カバーの取り付けは結構難しい。


この凝った作りの燃料ポンプ周りの造形は、全周型の金属ケースで覆われると全く見ることはできなくなる。

交換作業の詳細については下記動画を参照にしてください。

---230SL W113, Fuel Leak Repair---
@Identifying leak.
https://youtu.be/UPmhDUH2eNY
AInspection and removal fuel pump.
https://youtu.be/7YvHL8F0D5k
BFuel Pump return and mount stay refresh.
https://youtu.be/HPvmChOMKX4
CFuel pump & hose replacement.
https://youtu.be/Twy2JExwgkg
DFuel Pump RE-Replacement.
https://youtu.be/v9AJO5tAAag

4.燃料ポンプ継ぎ手ガスケットからのガソリン漏れと燃料ポンプのショートについて(2021/8)


リビルト燃料ポンプを取り付け、ガソリン漏れは完治したと思っていた。
その後、毎週触って点検していたが、1か月後にまた燃料ポンプ下部を触ると少しガソリンが手についた。
燃料ポンプの保護ケースがあると、どこから漏れているのかわからないため、また保護ケースを取り外す面倒な作業を行う事になった。
そして、燃料ホースとポンプを繋ぐ継ぎ手の部分のガスケット、入口とと出口側両方から極わずかに滲みだして漏れていることが判明した。
取りあえず、オーバーフローからのガソリン漏れではなかったので良かった。
継ぎ手のガスケットを締め治すために、ポンプ本体を車体から取り外した。
既にかなり強く継ぎ手はポンプ本体に締めこまれていたので、1/8回転程締めこむのがやっとだった。
ポンプを車体に戻して、確認すると、出口側の漏れは完全に止まったが、入口側の漏れは多少減った程度で止まっていなかった。
ガスケットを交換するか、継ぎ手自体を交換しないといけないようだった。とりあえず、ワコーズの液体ガスケットを塗りこんでみたところ、漏れは止まった。

漏れを確認する作業で、燃料ポンプのヒューズが飛んだ。

燃料ポンプが壊れたのかと心配になったが、新しいヒューズを入れて、エンジンをかけると問題なかった。
通電電流量を測定すると4A程度で、ヒューズ容量8A以下だった。

 

ヒューズが飛んだ原因を調べていくと、燃料ポンプ本体に12Vの電圧がきていることが判明した。そのため、金属製の保護ケースをずらして漏れを確認しているときに、保護ケースはボディーのマイナスに固定ボルトでアースされているため、保護ケースとポンプが接触してシュートを起こしていた。

燃料ポンプのケースに電流がきていることは、予想していなかったので、ポンプ内部の異常かと思い、ポンプ本体とポンプへの電源供給端子の通電状態を確認した。

燃料ポンプの外側は、プラスとマイナスの両端子側とも約1Ωの抵抗で通電していた。
調べてみると、これは、おそらくこの燃料ポンプが直流分巻きモーターで、ケース側にある界磁コイルにプラスとマイナスの両端子側とも接続しているためだと思われた。

このロングタイプの燃料ポンプは、まずポンプ本体と丸いステーの間に丸いゴムで絶縁、さらに丸いステーと十字ステーの間に3つの筒型ゴムで絶縁されている。
もしかしたら、保護ケースが何かにぶつかり損傷して、燃料ポンプに接触した時に、安全装置として燃料ポンプの4番ヒューズを飛ばして停止させる設計なのかもしれない。
損傷した保護ケースは、燃料ホースを傷つける可能性があり、亀裂の入った燃料ホースから燃料が噴き出ないようにするためだろう。

そういうわけだから、エンジンをかけながら、あるいはACC位置で燃料ポンプを作動させながら、保護ケースを少しずらしてガソリンが漏れてないか点検しようとするのはやめた方がいい。因みに燃料ポンプが全く見えないほど厳重すぎる保護ケースをもつのはW113では230SLだけである。

U.排気管系(吸気系を含む)

 1.マフラー点検(2013.12

113 mu3 113 mu2

リアマフラーのセンター側とエンド側。マフラーに痛みは皆無で、マフラーバンドもしっかりしている。マフラーバンドを守る遮熱板もちゃんとついているのがうれしい。

 

113 mu1センターマフラーも問題無かった。