ELECTRICAL SYSTEM



ELECTRICAL SYSTEM:電装

230
SLの電装は、50年近く昔の設計にもかかわらず、ほとんど現代の自動車と同じものが揃っていることには驚く。その装備について記しておく。

空調関係は、ヒーター温度設定左右(赤マーク)、内気外気切り替え(青マーク)、フロントウインドウデフレクター・上・下の換気装置切り替え(上下マーク)が完備される。230SLのレバーは透明なカラーのモノで夜間照明時に以降のモデルのブラックのタイプに比べきれいなので人気が高い。私のクルマは日本製サンデンの後付けクーラーも備わる。冷房強度と風量スイッチがある。
 

 灯火関係は、ハイロー切替ヘッドライト、フォグランプ、方向指示器、ブレーキランプ、尾灯、ナンバーランプ、ハザードランプ、バックランプなど全て現代の車と同じである。灯火の制御は、タコメーターとセンターの計器の間の位置の下に設置され、6段階の1つのスイッチでコントロールする。灯火制御スイッチの右隣りには赤い縁取りで色分けされたハザードスイッチが備わる。
 灯火スイッチは中央の縦の位置がゼロ。右に一つ目がポジションランプ、右に2つ目がヘッドランプ、手前に引くとフォグランプである。フォグは右に1つ目でポジションランプと同時点灯、右に二つ目では点かない。二つ目位置での不点灯はスイッチ不良なのか、ヘッドランプと同時点灯は却って光が散乱するため点灯させない仕様なのかは不明。ヘッドランプのハイロー切替はブレーキペダル左奥の丸いスイッチを足で押して切りかえる。ハイモードの場合はセンターの計器右上段に青いランプが点灯する。灯火スイッチの左周りは、左に1つ目が右側パーキングランプ、左に2つ目が左側パーキングランプである。(2013年3月修正記事)
 ヘッドライトはオリジナルのシールドビームが装備されていたが、シールドビームの暗さというのを知っているので、納車整備時にセミシールドビーム(形はシールドビームだけれど、中身はハロゲンランプ)に交換してもらったので明るさは現代の車と変わらず不足無い。
 ハザードランプのスイッチの場所は非常に使い勝手が悪い。緊急時以外は使うべからずといわれているような気さえする。私は、見通しの悪い公道から、バックで駐車しないといけないために、他車に少しでも発見しやすくてぶつけられないようにハザードは頻用するのでちょっと困る。

 計器類は、左から順に丸いタコメーター(エンジン回転計)、四角いセンターのコンビネーションメータ計器には左上に燃料計、左下にエンジン油圧計、右下に水温計(華氏)の針が並ぶ。四角いセンターの計器左上段には上からイグニッション警告灯(赤)、ドア開放警告灯(黄)、ハイビーム警告灯(青)が備わり異常がある時のみ点灯する。そして、その右には丸いスピードメーター(キロ表示)があり、その中央に全走行距離、リセットスイッチを200の位置に備えたオドメーターがある。これらもすべて機能している。透明なカバーは現代の車のように樹脂製ではなく、ガラス製だから、劣化しての曇りや傷もなく視認性は良好である。イグニッションスイッチはスピードメーター下に設置され、これも現代のクルマと同じく、アクセサリーポジションと点火ポジションが備わる。

 室内照明は、各計器類にはすべてヘッドライトスモール・ハイローと連動する夜間照明が備わる。計器類の照度はセンター計器下のつまみで調整可能である。空調関係の切替レバー4つにも夜間照明が備わる。ドアの開閉で連動する照明がハンドル下位置に備わる。時計にも夜間照明が備わっている。

 時計は、驚くべき事に機械式時計でキンツレという高級機械式時計メーカー製である。これを手巻きする代わりにバッテリーの電力によるモーターで時々巻き上げている。だから、大体日差3〜5分は進んでいるようだけれども、機能はしている。壊れると、クオーツ式の交換部品があるようなので、機械式ギンレツなのでこれは新車装着時の時計がそのまま機能しているのかもしれない。このクルマにはバッテリーが上がらないように、使わない時には簡単にバッテリーを遮断できるキルスイッチが備わっていた。だから、ほとんど時計も動くことなかったため壊れなかったのかもしれない。

 サイドウインドウは助手席に後付けのパワーウインドウ施工がされていた。これは、内装の雰囲気を少し悪くしてしまうけれども、むりにドア内部にモーターを組み込む作業をされてしまった車だと壊れた時の修理が大変なので、こちらの方が私には好ましい。いざとなれば、モーターボックスを撤去して、手動ハンドルをつけてしまえばよいだけだからである。

 ETCも装備されていた。カード挿入部はハンドル下に設置されていた。アンテナはダッシュボードにあるが、ごく小さいなものだからそれほど雰囲気を壊してはいない。左ハンドル車なので、高速道路に入るときには是非あった方がよい装備である。

 モノラルのラジオは木目とメッキのデザインがクラシックなナショナル製がついている。これも機能している。しかも、夜間照明も連動している。アンテナは非常に凝った美しいデザインのものがフロントウインドウ右前に装備され、これも手動スイッチで電動で上下する。スピーカーは長方形上の特殊なものが一つ中央のこった造形の木パネルの下に備わる。ただし、このクルマに乗るようになってから、エンジン・排気音を楽しむという事が初めてわかり、ラジオは使っていない。

 助手席のグローブボックスはとても美しい造形である。走行中に開いていても、がたつかないように開閉にも少しかっちりし過ぎていると感じるバネ仕掛けがある。そこにグローブボックスの蓋を開けると点くランプが備わる。このランプも金属のメッキパーツで構成されており極めて美しい。蓋の内側を照らすと同時に、蓋の外側の丸い子窓からも光が照射され、これは走行中のマップランプとして使用する意匠とのことである。

 方向指示機は、ハンドルポスト左に備わるワイパーレバーと兼用され、現代の車と同じく操作する。ハンドルを戻した時に自動的に指示機が切れるシステムも備わっている。これは、以前試乗した事があるW113では壊れていたものがあった。そのオーナーいわく何回直しても壊れてしまうということだったが、私のクルマは全く問題がなかった。

 ワイパーは中央から左右に二本展開するシステムだ。驚くべき事に、50年も前に間欠モード以外のすべての機能が電動でハンドルポスト左に備わるワイパーレバー一本で制御できる。フロントウインドウのウオッシャーも電動で備わっている。ワイパーは少し操作が特殊だ。手前に2局スイッチがついているがこれはワイパーの速度を調整するためのもので外側が低速、ハンドル側が高速である。ワイパーを動作させるには、レバーをハンドルポスト側に向けて押し込む。一度押し込むとワイパーは任意の速度で連続運動する。間欠モードは存在しない。止めるときはもう一度同様に押し込む。ワイパーレバーを奥方向に倒すとウインドウウオッシャーが二股に分かれ噴射される。230SLはメッキのワイパーブレードが備わる。ただし、これのリフィールは1本約5000円と高価である。

トランクルームには開閉スイッチ連動のランプが備わるが、これは機能していなかった。来ている配線二つともアースであったので、不思議に思いヘインズの整備書で配線図を調べてみると、230SLにはトランクルームの設定は無い事がわかった。おそらく、280SLの程度の良いトランクと過去に入れ替えたようだ。280SLの配線図を参考にして、230SLの1番のヒューズラインに接続すれば機能すると思われるが、トランクはどこからか浸水しているので、浸水したら拭いて開けっ放しにして乾かしたい。その度に電球を抜くのも面倒かもしれぬ。だから、配線するかどうかは少し考えたいと思う。

ホーンは車体前方のラジエーターの下に備わり、ハンドルに備わる存在感を殊更にアピールしているメッキの美しいバーを押して使用する。音色も素晴らしいが、音量も大きめでよく響くので使えばとても目立つホーンである。
 
 ヒューズボックスはエンジンルームにありアクセスしやすい。タイプは190Eとおなじステックタイプであるが、長さの半分くらいの小さいモノも2つ使用されていて、これは入手は簡単ではないらしい。切れたら、端子を改造して長いもので間に合わせるのが一般的なようだ。将来その必要があるかもしれない。逆に、そのままで使われ続けているという事は、この小さなヒューズが切れるような電装の異常が生じた事がないという事かもしれない。


掲載項目

1.ヘッドライトをセミシールドビームタイプへ交換(2012.4
2.ヒータースイッチ、外気エア切り替えスイッチ清掃と照明バルブ点検、スピーカー配線加工(2012.5
3.アンテナのメンテナンス(2013.2
4.ヘッドランプコンビの分解整備(2013.3
5.ヒータースイッチ内部分解・ラジオ取付修正・時計照明バルブ交換・グローブボックス取付修正(2013.5
6.クーラーガスチャージ(2013.6
7.パワーウインドウから手動へ戻す(2013.12
8.ヘッドライトのトリム固定ネジとりつけステーの修復(2016.2)
9.バッテリー交換 (2012.3)(2018.5)(2021.12)
10.リアランプ電球・ガスケット交換 (2018.11)
11.クーラーブロアファン清掃、クーラーガスチャージ、クーラーベルト、P/Sベルト調整(2019/8)
12.クーラーガスチャージ(2020.6
13.KIENZLE機械式時計の修理(2021.1)
14.左ヘッドランプ光軸調整ステー交換(2022/5)

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1.ヘッドライトをセミシールドビームタイプへ交換(2012.4

 形状が平らになるという事でシールドタイプにこだわるオーナーも多いようだが、私は夜間走行時の安全性能と球切れした時の電球の手配の利便性を優先させてハロゲンランプに変更した。夜間走行をテストしましたが現代のクルマに劣らない照度で十分に安全に走行できた。ヨーロッパタイプだ と、最近のクルマと変わらず一体型なので、反射板が腐ると部品を探すのがとても大変で、交換も大変で、目ん玉飛び出すほど高いらしい。US仕様(日本のヤナセディーラー車もUS仕様)のシールドビームだと、統一規格なので、国産のコイト性に容易にアッセンブリー交換できます。

2.ヒータースイッチ、外気エア切り替えスイッチ清掃と照明バルブ点検、スピーカー配線加工

ヒータースイッチ、外気エア切り替えスイッチの照明がとても暗いため、2つあるはずのランプのうち一つは切れているのではと考え点検した。
ダッシュボード上中央のウッドパネルをネジ2つ外し取る。


スピーカーもネジ二つで止められているのでこれも取る。
スピーカを引き出す。スピーカー配線はコネクターが無く直接半田ズケされているため、取り除けない。今後のメンテのために不便なので、カットしてギボシ加工する。

照明は2つとも生きている事が判明。

少しでも明るくならないか、スイッチをよく見ると凄く汚れている事にきずいて、清掃してみた。結果としては、少しだけ明るくなったような気がするけれど、僅かに灯る程度の光しかこれらのスイッチレバーには伝わらない。照明の穴も掃除してみようとしたが、たいして汚れも取れず、どうなっているかも角度的に目視することも難しかった。

3.アンテナのメンテナンス(2013.2
 
アンテナが写真の状態で10センチくらい飛び出していた。そういう意匠だと思っていた。アンテナに注油しようと思い、伸縮させシリコンオイルを充てんさせていると、一番下の飛び出している部分も格納される事が分かった。上手く動作するようになるまで、かなり何回も伸縮を繰り返して注油を行う必要があったが、メンテ後はしっかり奥まで格納される状態となった。

整備前 整備後

4.ヘッドランプ・リアーランプコンビの分解整備(2013.3
 W113のヘッドランプは、まず美しいシルバーメッキのカバーを下端のネジを外し、上端を上にずらすようにして取り外す。私のクルマはUS仕様なのでヘッドランプは車体側に残した状態になる。フォグとポジション、サイドマーカーのコンビ部分はメッキカバーと一緒に外れる。コンビ部分は集中コネクターが来ているのでこれを外す。配線をカバーする樹脂カバーは4つのネジで止められている。これを外すと内部が見えるようになる。カバーは割れていたので補修した。

    

 一番下のサイドマーカー(18W)は両端のロックをペンチなどで回転してずらすと反射板が外せる。かなり古いクルマなのでもっと傷んでいると思っていたが、酷くはなかった。錆はあるものの反射板は機能性を保つ程度であった。ランプのソケット部分の錆をしっかりリューターで研磨し除去した。ランプもかなりくすんでいるので交換しようかとも思ったが、磨いてみるとピカピカだったので再利用する事にした。

  

 コンビ部分の上段は、フォグランプ(35W)とポジションランプ(3W)とパーキングランプ(3W)の3つのランプがある。フォグランプのソケット部分はかなり錆びていた。分解整備前は点灯していなかったのは導通不良によるものだった。W201ではポジションランプとパーキングランプは同じ一つの電球を共用しているが、W113はそれぞれ別々のランプとなる。パーキングランプの方のソケットはかなり錆がひどかった。錆は表面のみでリューターで研磨し除去して十分に使用可能であった。年式を考えるとこのソケット台座の材質が非常に良いことを物語っている。フォグランプとポジション・パーキングランプはバネのロックを外して電球のソケットごと外す。



 レンズ裏部分と、メッキパーツの隅々を丁寧に清掃するととても綺麗になった。
 ランプがおさまる車体側については、隙間から上端が少しさびが浮いていたので、きっとボロボロだろうなと覚悟していたが、あけてみると内部の錆は皆無だった。メッキカバーとボディが接する部分だけ表面に少しさびが出ているのみだったので、軽く研磨して防さび処理をし塗装した。私が入手したこのクルマの程度が非常に良い事を改めて感じた。



 リアーのコンビランプも分解した。4か所の丸い樹脂のネジを外し、ナットを外す。
 この順番が誤って装着されている事も判明した。
 樹脂ネジ>ナット>ワッシャー>コンビランプステー>ボディとなっていた。
 これでは、ボディとコンビランプステーの間が数センチも開いており、しっかりと外のテールレンズ部分が固定されていない。また、樹脂ネジの下にナットがあり樹脂ネジの意味が不明である。電球脱着作業する度に、テールレンズのパッキンが緩んでしまい気密性を損なう心配もある。
 おそらく、正しくは
 樹脂ネジ>コンビランプステー>ナット>ワッシャー>ボディである。
 これだと、テールレンズから来るボルトをボディでしっかりナット・ワッシャーで固定できる。そして、電球を交換する際には、工具を必要としない樹脂ネジを外すだけで作業できる。
 
 配線コネクターは片側に二つありこれはロックなしで引き抜くだけで外れる。右側のボディーとの間のシーリングゴムが曲げられて装着されている事が判明。シーリングゴムに亀裂もあり、木工用ボンドで補修した。ランプは5つあり、ウィンカー(両端/18)、バックランプ(中央/15)、ブレーキランプ(中心/18W)、ポジションランプ(4W)、パーキングランプ(4W)が備わる。それぞれのソケットを研磨し表面さびを取り除く。分解してみて初めて分かった事がある。車内トランクルーム側にポジションランプとパーキングランプの明かりが入るように透明な窓がついている。夜間トランクの中を灯すためのアイディアである。

  


  

 点灯テストは、灯火スイッチは中央の縦の位置がゼロ。右に一つ目がポジションランプ、右に2つ目がヘッドランプ、手前に引くとフォグランプである。フォグは右に1つ目でポジションランプと同時点灯、右に二つ目では点かない。二つ目位置での不点灯はスイッチ不良なのか、ヘッドランプと同時点灯は却って光が散乱するため点灯させない仕様なのかは不明。ヘッドランプのハイロー切替はブレーキペダル左奥の丸いスイッチを足で押して切りかえる。ハイモードの場合はセンターの計器右上段に青いランプが点灯する。灯火スイッチの左周りは、左に1つ目が右側パーキングランプ、左に2つ目が左側パーキングランプである。パーキングランプはイグニッションOFFの状態でしか点かない。全てのランプが正常に点灯する事を確認した。

5.ヒータースイッチ内部分解・ラジオ取付修正・時計照明バルブ交換・ブロアーモーターのスイッチ修理・グローブボックス取付修正(2013.5

 
時計の照明が切れている事に気がついた。グローブボックスを外し、時計裏の固定ステーを外し、配線のコネクターを外せば簡単に時計本体が取れた。照明バルブは124Wのポジションランプの電球と同じような規格のモノで手持ちのモノがあったので交換したら、ずいぶん明るくなった。


この機械式時計は機能しているだけでも非常に貴重らしい。日差は5分程度。1週間で30分狂う。

 
時計の照明バルブはスライド接点外せば簡単に交換できる。

 ついでに、今までスピーカー側からしかアクセスした事のないヒーターや外気導入レバーも照明がいまいち暗く本領を発揮しているのか怪しかったので分解してみた。内部には透明なプラスチックのシリンダーがあり、その中に電球が位置する構造だった。電球の光は、このシリンダーをとおり、さらにヒーターレバーをとおり、目に届く。とくに、ヒーターレバーを通る経路が2〜3センチはあるので、ピッカピカにヒーターレバーが明るくなるには相当な光源が必要になる。電球はそこそこの明るさがあっても、構造上、なかなか難しいのである。とりあえず、できる事と言ったら、このシリンダーとそれに面するレバーの断面の汚れを取り除く少しでも光のロスを軽減する事しかない。

  
プラスチックのシリンダーは上下側からネジで止められているので、両方からアクセスする必要がある。レバー断面部分も清掃しておく。


透明なプラスチックのシリンダー。右が清掃前。左が清掃後、プレクサスで傷けし処理したモノ。

 やってみたら、昼間でも照明がついているかどうかはかろうじて分かる程度にはなった。レバー自体が光るというよりは、レバーの隙間から洩れてくる光がレバーを照らしている。そういうことなら、シリンダーの清掃はダイレクトに明るさにつながる。


ヒーターレバーの右パネルはブロアーSWを外したら、右にスライドして外れる。左パネルはこの間の部分に裏からナットで留められておりこれを外すにはダッシュボ-ド中央のパネルを外してアクセスする必要がありそうだったため今回は見送る。ラジオの空洞からヒーターレバー内のシリンダーへのアクセスが可能。

この作業の際に、今回一番見つかってよかったことを発見する。それは、ラジオの取り付けが間違っていた事と、ラジオの操作が初めて分かった事だ。
まず、ラジオが
 ツマミ>ナット>木目パネル(アルミ?金属)>メッキパネル(プラスチック)>ボディ>ブラックパネル(金属)>ラジオフィッティングステーパネル(金属)>ラジオ本体
で取り付けられていた。このままだと、ラジオの自重や操作する時にかかる力は、木目パネルとメッキパネルにかかっている。木目パネルは薄い金属で裏打ちされているが、強度的には弱そうだ。力が加わると、曲がって、プラスチックのメッキパネルが割れてしまう恐れがある。

 はじめの誤った取り付け

おそらく、正しい取り付けは
 ツマミ>ナット>木目パネル(アルミ?金属)>メッキパネル(プラスチック)>ブラックパネル(金属)>ボディ>ラジオフィッティングステーパネル(金属)>ラジオ本体
であるはずだ。そうでないと、ブラックパネルの存在理由が構造上ないからだ。これであれば、厚いしっかりした作りのブラックパネルとステーパネルでボディー鋼板を挟む事になり、よわい部分に力はかからない。こういう取り付けミスは、リアランプの際にも見つかっている。自動車の整備も構造をよく考えて組みつけるセンスが要求される。

 ついでに、木目パネルを外した方が、ずっとかっこいい事が判明。そして、左側のつまみが二段構造になっている事が判明。なんと奥は、低音〜高音のイコライザーになっていて、左に一杯に回されていて低音だけの設定になっていた。そのため、これまで音がひどく低音だけのこもった音域しか出ておらず、スピーカーがゴロゴロと割れてばかりいた。スピーカーは取り外して別のアンプでテストした所問題無かったから、ラジオも相当古いものだから、その内部のアンプの故障だろうと諦めていた。これを中〜高音に回すと、綺麗な音が出るようになった!


木目パネルを外すと、綺麗なストライプのメッキパネルに早変わり。こっちのほうがカッコイイかも。

 ブロアーモーターのスイッチの照明も相当暗かったので、外して点検すると、内部の光源を透明なプラスチックの棒を通してスイッチの中央に伝える仕組みだった。この棒が内部でグリスのような緑色のモノで汚れきっていた。これでは光はほとんど届かない。棒を取り外し、研磨して透明にして戻すと、しっかりとブロアーONで照明がつくのが分かるようになった。しかし、このモータースイッチをテストして分かったのは、ゼロ>無段階のブロアー量調整>中速固定>高速固定の4ステージあるのだが、2段階目のレジスターでの無段階のブロアー量調整のときに、煙が出ることがわかった。シュートはしていない事をテスターで確認した。レジスターの劣化で、煙が出ているのだろうか?装着していると、ダッシュボードの中で煙が出るためおそらく気がつかない。ブロアースイッチは、じつはほとんど使わない。もし使うとしたら、中速固定か高速固定で使う分には煙は出ていないので良しとした。今回分解してみるまで、高速固定のステージがある事は分からなかった。しかし、色々と至れり尽くせりの装備がこのクルマにはついている。中古良品が手に入るのであれば、購入しておこうと思っている。


ブロアーモーターのスイッチ。機能の割には大きく、重い。

 グローブボックスの開閉ヒンジ部分がボディーに接触していて、開閉の時の異音の原因になっている事も分かった。これは、これまでの脱着時に無理にボックスを外そうとして、ボデー側のパネルを曲げてしまっていて、ヒンジ部分のバネに全開時に接触していた。ボデーのパネルの不整な歪みを修正すると、これは解消した。

 中央の逆コノ字の部分が歪んでおり、ヒンジのバネと接触していた所の塗装がはげている。


今回の分解で、ダッシュボード内部の状態が確認できた。錆は皆無だった。中央はワイパーモーターの根元とリンク機構。
僅かに右奥に見えるのは、アンテナモーターであろう。
エアダクトの排水ホース左右も交換済みであった。

6.クーラーガスチャージ(2012.4)(2013.6

50年近く昔のクラシックカーであるW113だが、クーラーが後付けで装着されている。購入時にはよく冷える・・・という話だったが、クルマを受け取ってスグ点検したが、全く効かなかった。
しかし、委託販売という・・・保障なしの売買だったから、現車確認もせずに購入してしまった以上は、泣き寝入りするしかない。
駄目もとで、真空引きとガスチャージを依頼した所、一応冷えるようになった。4月に入れて半年くらい暑い時期には時々使用出来ていた。
翌年の2013年の夏には、かなり効きが悪くなっていたので、ガスチャージを依頼。2本入った。
しかし、僅か1ヶ月後には再び効きが悪く感じたため、どれくらい抜けているかと思い再びガスチャージ依頼。2本入った。
クーラーの効きは、外気温が30度オーバーの青天下では、ぎりぎり汗が出ない程度・・・たぶん29度くらいまでしか冷えていないと思う。外気温が30度以下だと、涼しいと感じる程度まで効く。
まあ、あまりこういうクルマにクーラーの事で期待するのは、止めておこうと思う。

7.パワーウインドウから手動へ戻す(2013.12

 前オーナーによって、助手席側のみパワーウインドウに後付けのモーターキットで改造されいていた。これは便利である反面、モーターのパワーの加減は手動の様に微妙には加減ができないために、ウインドウレギュレーターへの負担や、ガイドレールのパーツへの負担が気になっていた。以前に、ドアの内部を観察した際には、レギュレーターの摩耗などは全くなかったので、今のところの状態は良い。しかし、私が乗るようになって頻繁に窓の開閉をするために、今後の影響が気になっていた。もうひとつの一番の懸念は、パワーウインドウには配線が必要で、これが元々オリジナルでは、パワーウインドウの設定はないために正規の配線ブーツというのがないため、配線が開閉の度にドアのウェザーストリップに挟まっていることだった。W113のドアの構造では、10センチ位の配線がボディーとドア間で必要となるため、他車の配線ブーツの流用は難しい。万が一、パワーウインドウの配線がショートし漏電したら、バッテリーが上がり車は不動となる。

 便利なパワーウインドウであるけれども、自動車の信頼性を高めるために、撤去する事とした。まず、ハンドルなどの部品を探した。230SLデザインのハンドルは、メーカーにもなく、後期の280SL仕様似のR107タイプのややツマミ部分の大きいタイプしか入手できなくなっていた。230SLのか細いしんなりとしたデザインは、色々なつまみのデザインに共通であるため、ここは是非統一したい!と考え、ネットで辛抱ず良く出品を待っていたら、同一デザインのものが中古で入手できた。
 ハンドルにも、いろいろあると思っていたら、ハンドルとドアの内張りの間に挟むエスカレーション(トリムリング)というメッキのパーツにもいろいろある事が調べていくうちに分かった。ややこしい話であるが、ハンドルとレギュレーターを固定する設計自体が230SLと初期の250SL以降に変更さてていた。これは、おそらく米国の安全基準対策であろうと推測される。230SLと比べ、280SLでは、ハンドル自体の車内側への出っ張りが少なくなるように、ハンドルの穴がレギュレーターの軸を貫通するようになっている。おそらく、5ミリ程度は出っ張りが少なくなるようだ。従って、エスカレーションも、薄くなっているようなのだ。これだと、オリジナルのハンドルを入手したけれども、エスカレーションも230SLオリジナルのものを探さないと、ドア内張りと干渉してしまう心配がある。
 色々探したら、純正品ではない社外品だとドイツから、オリジナル形状のエスカレーションが入手可能との事だったので、現在、注文中である。

 
ドイツから入手する事に成功した230SLモデル専用のトリムリング(別名エスカレーション)。
7000
円位する比較的高価な部品であるが、50年以上前に3年間位しか製造されなかった230SLモデル専用部品が現在でも入手できたことは奇跡である。
純正部品の供給はなくなっており、この部品が手に入らなければ、かわりに扁平な形状のトリムリングで代用させられる事になるが、寸法も変わってしまうためハンドルクランクも、後期モデルタイプに変更しなければならなくなる。

 

 
無事に、後付けパワーウインドウから、手動ウインドウに復元する事が出来た。

8.ヘッドライトのトリム固定ネジとりつけステーの修復(2016.2)
以前ヘッドライトを分解したときに気がついた問題があった。
メッキのトリム枠と一体化している下半分のランプユニット下部にユニットを外すときに取るネジがある。
ランプユニットは上はバネで挟み込み、下方は1つのネジで止められる構造だ。
このネジが右側は受け側の問題なのか、ネジの紛失かで、タッピングネジを強引にさしてある状態だった。
車検に出す際に、光軸調整をするためにこのランプユニットを外す作業が必要になる。このままでは、その際にしっかり取り付けできなくて、ランプユニットが振動で落下する心配があった。

 
ユニットの上側はこの穴につめバネを差し込む。
下側についている部品のなかに、板状の小さいネジウケ(板ナット)が入っている。板ナットを交換するために、左右の大きいタッピングネジを緩めれば取る。

 
左側が正規のネジ。右が強引に挿入されていたタッピングネジ。当然、板ナットのネジ山はボロボロで、いつ脱落してもおかしくない。
マイナスドライバーでこじ開けて、受け側の板ナットを摘出。これはホームセンターに全く同サイズの製品として置いていた。
作業は全然たいしたことはなく、部品も何十円のものなのに、こういうポイントを疎かにすると、ランプユニットの脱落などの大損害を招くことになる。

9.バッテリー交換(2012年3月)(2018年5月)(2021年12月)
 
(2012年3月)このクルマを購入した2012年に新品のバッテリーを入れた。以後、始動できないことはなかったが、時々エンジンがかかりにくい時にはバッテリー充電を行ってきた。
 (2018年5月)6年が経過したため、そろそろ限界なので自分で交換した。BOSCHのPSIN-6C、約11000円也。
 (2021年12月)前回交換から3年半しかたっていないが、バッテリー上がりで始動不可となった。充電すればもう少し、使えるかもしれないが、念のため交換した。BOSCHのPSIN-6C、9870円也。前回同様、アマゾンで注文し自分で交換した。
 

10.リアランプ電球・ガスケット交換・蝶ネジ対策(2018.11)
 
出先で右車線に車線変更しようとした時に、なぜか右後方のクルマが驚いたような反応を示しているように感じた。
 右指示器を出したときに、計器の矢印の点滅速度が速い。ターンシグナルランプが切れているのだ。玉切れ警告システムがこんなに古いクルマでもあることに驚いた。
 車線変更が危ないため、出先でランプユニットを外して、ランプを交換しようとしたが、右後ろは、手で回せる樹脂ナットが欠品していて、普通のM5金属ナットで代用していたため、工具が必要だった。幸い、車載工具にレンチが入っていたのでなんとか外すことができた。これは、後日、M5の蝶ネジを探して交換しておいた。
 ランプユニットはガスケットが劣化していて、外す際にちぎれてしまった。これは、後日、ホームセンターでぴったりのコの字型ゴムパッキンを見つけて交換した。
 ターンシグナルランプ電球は切れていた。よかった。ランプユニット自体が腐食などで壊れている場合もあるので。
 予備電球はもっていなかったため、真ん中のバックランプ用電球を外して、ターンシグナルランプに移して点滅を確認した。

 もともとついていた電球は、不適合なワット数のものだった。
 リアランプは5つあり、ウィンカー(両端/18)、バックランプ(中央/15)、ブレーキランプ(中心/18W)、ポジションランプ(4W)、パーキングランプ(4W)がランプユニットに記載された指定ワット数である。それが、ウィンカー(23W)、バックランプ(15W)、ブレーキランプ(23W)、ポジションランプ(6W)、パーキングランプ(6W)が入っていたのである。
 過大なワット数の電球は、ランプユニットレンズの溶解破損につながりかねないので、12V18Wの電球を探したが、21Wや23Wばかりで、15Wや18Wはどこにも全然売っていなかった。
 アマゾンで探し、予備も含めて手配した。

 *230SLはこの規格で間違いない。250SL、280SLはユニット形状が変更されており、ワット数が上がっていた。


左が18W、右が23W。長さが4ミリ程度23Wの方が長い。
これだけ違うと、長時間点灯する可能性のあるブレーキランプの場合は、レンズの溶解を起こす可能性がありそうだ。


バイク用のランプを製造している日本メーカーM&Hが12V15W,18Wを生産し続けていてくれた。
12V4Wのポジションランプも、殆どのカー用品店では売っていない。


ホームセンターにある3m/m用コの字型スポンジゴムがサイズ的にリアランプユニットにぴったりだった。


ボロボロの古いパッキンを外し、このように取り付ける。切り口の合い部分は下側にした。


左右とも、パッキンを交換した。


中央の白い樹脂ナットが230SLの場合は片側に4個つく。250SL以降は2個になっている。
手で容易に回せるようになっていて、リアランプの電球交換は工具は一切不要で、5分も掛からず交換できる。
しかし、これが1か所、購入した時からなくなっていて金属ナットで代用されていた。これだと、工具がないと外せなくて交換作業に時間がかかる。
M5の蝶ナットをホームセンターで購入して交換した。
 

11.クーラーブロアファン清掃、クーラーガスチャージ、クーラーベルト、P/Sベルト調整(2019/8)
 
クーラーのガスは半年程度で3/4抜けてしまう。毎年7月ごろに3本補充しても11月頃までギリギリ持つかどうかという感じである。
 漏れているのは、おそらくコンプレッサーであるが、私のW113に後づけされたコンプレッサーは豊和工業社製であり、同社は既にカーエアコンの分野から撤退しており修理はできないとのことだった。
 取り付けられている豊和工業社製コンプレッサーは、よくW113に取り付けられているコンプレッサーとは形状が異なっていて高圧ホースと低圧ホースの取り付け位置が全然違う。
 そのため、交換するにはホースの作り直しと、ステーの作り直しが必要で、いつも頼んでいる電装屋さんでは対応できないと言われている。

 また、渋滞にはまると、クーラーをつけていると水温が上昇してしまい、オートマチックトランスミッションの2から1への変速ショックが大きくなり、ミッションへの負担が心配になる。
 そのため、クーラーが使えるのは走行環境が良い場合に限っている。

 年に1〜2回、各2〜3本(3000円〜4000円)補充(1回すれば、取りあえずはクーラーは使えるのでこのまま使用している。 

 8月になり、クーラーなしでは辛い気温になってきたので、つけてみたところ、キュルキュルという音がファンの所から聞こえた。
 エバポレーターとブロアファンが室内に吊り下げ式になっているユニットに格納されているので、これを分解して、ブロアファンを点検する。

 ブロアファンを取り出して、単体で点検したところ、とくに異音はしていなかった。ファンとケースの間にゴミが入って接触していたのかもしれない。
 ブロアファンの羽とエバポレーターの裏側を清掃して元に戻した。
 ファンレジスターは冷却されるようにエバポレーター前に設置されていた。通電に問題ないかを確認した。

 ブロアファンからの異音は消えたが、エンジン側のベルトから異音が聞こえた。
 ベルトが緩んでいたので、調整を試みたが、後づけのために容易にテンショナー調整ができない構造になっていた。
 整備工場に張り調整を依頼した。(5400円)

12.クーラーガスチャージ(2020.6
 
コンプレッサーから漏れていることは分かっているが、すでに修理部品が供給されていない豊和工業製のため修理できない。交換しようにも、同じ寸法のコンプレッサーを探すのは電装屋さんも難しいとのことで、やむなく毎年ガスチャージで誤魔化している。5500円也。

 
 

13.KIENZLE機械式時計の修理(2021.1)
 
W113には車載の純正アナログ時計が装備されている。世界初の実用クオーツ時計がセイコーから市販されたのは1969年である。1966年式のこのクルマが製造された時期には、クオーツ時計はまだ誕生していない。機械式メカニズムの車載時計の仕組みはどうなっているのか、私は大変興味があった。腕時計の機械式時計の動力源は、ゼンマイを手巻き式で巻き上げるか、自動巻きが考えられるが、車載という特殊な環境ではどうなっているのだろうか。時計の精度が段々とひどくなってきたので、取り出して、腕時計用の油をさしてみることにした。


時計はダッシュボードの裏から固定されている。二本のナットを手で取り外し、ステーを外すと時計本体を前にひきぬくことができる。


時計の配線コネクター。通電しているの3か所。アース、12V常時電源、ライトオン連動12V電源。




機械式時計で、腕時計のメカニズムに近い。ユニークなのは、いわゆるゼンマイは無く、コイルスプリングを引っ張って動力源としている。
コイルスプリングが縮んでくると、接点が接触して12Vがコイルに通電する。コイルは電気の力で、コイルスプリングを引っ張る。
これを80秒に一回繰り返すことで、絶え間なく機械式時計機構に動力を供給している。
従って、電圧の不安定は、時計の精度には全く影響しない。


<W113車載時計の動作>


使用した腕時計用油。注油は腕時計用のオイラーという専用工具。
腕時計の注油方法に従って、軸への注油により劇的に精度は回復した。
12V電源を卓上で確保して、通電し、日差を調整した。注油前は一日に10分位遅れていたのが、注油後は5分進む程度になり、更に調整により日差+90秒になった。
新品時の精度は1週間で5分程度らしい。


<W113車載時計の取り外し、メンテナンスの動画>

14.左ヘッドランプ光軸調整ステー交換(2022/11)
車検の際に、左のヘッドランプの光軸調整ができないという問題があった。
原因を調べていくと、ヘッドランプを固定しているステーについている光軸調整ネジを受ける樹脂ナットが摩耗して、調整ネジを回しても滑ってしまっていた。
この樹脂ナットだけを交換できる構造になってはいたが、部品供給なし。USヘッドランプ一式の中古部品(片側二万円)を入手して交換した。

 

 





https://youtu.be/Pgp5ujmSSKA