中古車買取の知られざるワナ

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車を買うという行為について、それが新車であれ中古車であれ、よほど不感症の人間でない限り、買い物の中では最も心躍る人生のエピソードの一つだと思う。人生においてそれまで付き合った異性の名前を忘れないのと同じように、それまで乗り継いできた自動車の車種、グレード、年式、おおよその購入金額を忘れる事はないだろう。しばしば、人生最大の買い物は家と車などと言われるが、という商品が極めて高価である事、土地という制限の多い条件がある事から、服や車のように自由に選択できる買い物とは一線を画す。加えて、自動車を乗り継ぐように"をしばしば買い換えるという行為は一般的には無い。私は自動車という商品については、外の消費財とは比べ物にならない、買い物の醍醐味が極限にまで昇華された魅力があるとおもっている。

車を買うときに人は車を売る行為をほとんどの場合することになる。車を買うという行為が余りにも刺激的で、幸福で、論理的であるのに対し、その興奮のためか車を売る事に対して鈍感になっていないだろうか?かつて合理的・論理的、感情的な全ての人間の情感をもって購入した自動車を、手放し買い換える際の気持ちの変わりようといったらないだろう。

まさに、中古車の買い取りというのは人間のそういう薄情さを利用して、市場価値のある耐久消費財である中古車を信じられないほど安く買い叩くシステムになっている。

私が初めて車を売るときに体験した、中古車買い取りの表と裏について書いていこうと思う。

私にはたった二年前に新車で購入したばかりのまだピカピカの軽自動車があったが、この二年の間に子どもが一人生まれ、翌年にはもう一人生まれる予定があるために、軽自動車ではなくより大きなミニバンに買い換えたいという気持ちが生まれてきた。それでも、普通自動車はより維持費がかかることや軽自動車では不要だった駐車場家賃、ミニバンの車両価格などがネックになり買い換えたいという気持ちがあるだけで実際には買えないだろうという諦めが気持ちの大半を占めていた。

それでも、ことあるにつけて、中古車情報をインターネットや雑誌で探し、買う事のできそうな中古車を物色していた。休みの日には中古車でも高嶺の花のミニバンを目当てに中古車屋を回って色々みてまわったりしていた。人気の無い車種は買える値段であるが、買い換えてもさほどスペースが変わらなかったり、中途半端な大きさのものが多く、気に入ったものはなかなかなかった。国産車では最大級クラスのミニバンはよほどぼろぼろの低年式車でもない限り、人気が高いため高価だった。

半年間も物色しつづけ、二人目の子どもがいよいよ2ヵ月後には生まれるという時期にさしかかった頃に、インターネット上に目に留まった中古車があった。価格は50万円以内、大きさは最大級クラス、年式こそ8年落ちであるものの走行距離は3万キロでディーラー2年保障つきという物件だった。これはいいかもしれない、とそのデイーラーの中古車センターに休日に見に行った。このときは、きっと安いには何かわけがあるだろうと思い、そのあらを見つけて買うのを諦める自分への口実をわざわざ確認する為に行ったようなものだった。

 

私が目をつけた中古車を販売しているディーラー直営中古車センターに行くのはこれが初めてではなかった。以前から新車のセールスのダイレクトメールやらが届いていたので時折、展示車を見に行ったりした事がある。そのときの印象は、特に悪いものではなったから、気構えすることなく中古車センターを訪ねることができた。

インターネット上の情報では無事故車、ワンオーナー、走行三万キロ、8年落ち、車両の写真三点であったが、それらからは何一つ問題はなさそうに見えた。しかし、中古車というのは一台一台、非常に個性的で、ほとんどの場合は価格と商品の価値=程度は比例しているという見方が一般的であり王道である。中古車雑誌の広告やインターネット上の情報で問題ないように見えても、同年式同走行の同モデルの相場から外れて安い場合には何かあると思った方がいいということだ。私の車両の場合、まさに僅か1年だけ高年式の同モデルが走行7万キロであるのにかかわらず75万円の価格で同じ中古車センターで売られているので、相場よりも少なくとも1020万円は安いという事になる。インターネットの相場情報を見ても、得られる条件内では日本一、安価な車両のような気がしてならなかった。

見れば一発でその安さの理由が分かるに違いない。それくらいぼろだから安くしているはずだ。と思っていた。中古車展示場にあった私の目をつけた車両は、すぐに見つかった。一見して、隣の75万円の車両の方が好みだった。サンルーフもついているし、旧式ではあったが純正のカーナビも装備されていた。予算オーバーだが、こっちの方がカラーも好みだし、気に入ってしまった。40万円のほうには見向きもせずに私は75万円の車両ばかりをあれこれ観察し始めた。ただ、走行7万キロというのが、気に食わなかった。冷静にインターネット上で中古車探しをしていたときには走行5万キロ以内と決めていたのだ。この走行距離でこの価格なら当たり前の相場で、買い得品でもなんでもなかった。急に熱が冷め、そこで、一度、40万円の車両を観察することにした。その価格差が埋まるほど両者に差があるのかを確認したかったからだ。

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万円の方の車両でも納得のいく大型のサイズにうっとりし、内装もそれほど痛んでいないことも分かった。しかし、外装は、ヘッドライトはくすんでいるし、ボディーのペイントは年式の割にキレイすぎた。キレイすぎるということは補修ペイントしているに違いないと思い、観察すると、やはり、ボンネット、バンパー、両リアフェンダーを中心に色合わせのためかほぼ全身オールペンに近い状態であった。ただ、無事故車とディーラー系の直営店で歌っている以上は外装のがり傷などをきれいに塗りなおしただけで事故車を想定するのは無用な詮索であろうと、判断した。走行距離に関しても、同じ理由で疑う必要はあまりなかった。そして、エンジンルームを見たときに私の気持ちは固まったのだった。

*中古車買い取りについてのドキュメンタリーではあるが、中古車を買うときの記述がしばらく続く。それは、買い取られていった車は必ず、中古車として流通する、中古車を買うときに注意するポイントは、中古車を売るときに研ぎ澄ますべきポイントとも共通するからだ。なぜ、程度によって買い取り額に価格差が生まれるのか。どのような理由によって買い取り金額は決まっていくのかを知りたいと思うのであれば、中古車を買うときの人間の心理を洞察する事である。

 

走行三万キロ、40万円の方の車のエンジンルームを見せてもらい、驚いた。それはまさに、新車と間違うほどにきれいなエンジンルームだった。クリーニングをしてきれい、という状態ではなく、全く痛んでいない新車のときの雰囲気を残している状態であった。エンジンルームで痛みやすく、劣化を隠すのが難しい吸音材などのスポンジ系の部材、ガスケット断端の変色、プラスチックパーツの劣化による変色・変質はみあたらず、3万キロという走行距離を十分に信じるに足るばかりか、渋滞など過酷な使用環境とも無縁の恵まれた条件で所有されていた事を示す状態であった。走行7万キロ、75万円の方の車両のエンジンルームはそれなりにやれていたのと比較するとその程度の差は雲泥の差があるのだった。それほどきれいなエンジンルームを見せられたからには、これはもうどう考えても買い、と確信したのだった。あとは、少し気になる外装の問題について少し聞きだし、交渉する必要があるだけだ。

ヘッドライトのひどい変色ときばみについては、尋ねた所、すぐに、これでは車検も通るか分からないくらい痛んでいるので新品交換を無料でしますという確約を得られた。外まわりのペイントについては、傷があったなどの理由で補修されたものでしょうという事だった。事故暦は無い事も再確認し問題ないということであった。エンジンが、バッテリーが上がっていて始動しなかったために、夕方までにバッテリーのチャージをしてもらってエンジン始動で最終確認を取るということにした。

そこで、そのディーラー系中古車センターで、そのとき乗っていた2年落ち、走行1万キロの軽自動車の下取り査定を依頼した。査定はその場で行われ、エンジンルームを見たり、下回りを見たり、2時間ほどかかって、出てきた金額は35万円という事だった。標準装備以外に自分でつけたカーテレビはそのままでも取り外しても査定額は変らないということだった。

100万円で購入した車が僅か2年で35万円とは、少し安すぎる気もしたので、もう少し何とかならないかと粘っても見たがダメだった。ちなみのその軽自動車は、そのデーラー系の車ではない。中古車センターの担当営業マンは、***中古車買い取り屋さんの方ならもう少し高く買い取ってくれるかもしれませんというアドバイスをしてくれた。それで、まだ中古車を買う契約も売る契約もその場ではせずに、値段の折り合いがついたら今日中に契約しますからといって、車で数分の距離の***中古車買い取り屋へ向かった。

実はこの拙速すぎる、私の動きがこの後の大後悔を生む初めの原因にもなってしまう。私は自分の車が中古車市場で一体いくらで売られているのかをこの日には全く調べていなかったのである。冷やかしのつもりでディーラー系中古車センターにみにいったので、自分の車の下取りがいくらになるかなどを全く気にしていなかったのである。気に入った条件の中古車を見つけた場合、中古車の場合先に誰かに買われてしまうかもというあせりもあり、新車を購入するときよりも、その場で決めてしまうケースは私だけでなく、少なくないらしい。

私は、カモがネギをしょったごとく、何の情報ももたないままに、テレビでもコマーシャルを流している有名な***中古車買取屋へウキウキ気分で向かった行ったのであった。

 

私は中古車ディーラーから車で数分の紹介を受けた中古車買い取り店へ向かった。
このとき既に中古車ディーラーで35万円の下取り価格を提示されていたため、40万円くらいで買ってもらえたらいいかなという程度の気持ちであった。

テレビでもコマーシャルを大々的に行っているその中古車買い取り点についたが、がらんとした店内には人影が無く、人が出払っているのかと思った程だった。1分くらいで二階のから人が降りてくる音が聞こえたので、自動ドアにセンサーが仕掛けられそれで呼び出すシステムなのかと、サービス業にしては愛想の無い感じに少しあきれた。
出てきた人物は非常に若くまるでホストのようなハデハデしいスーツを着ていた。スーツに着られてしまっている垢抜けない20代の営業マンだった。
車を買い取って欲しいので査定をお願いしたいといったところ、査定に1時間は必要なので、車をおいて後で取りに来て欲しいといわれた。まず初めにこの話でちょっとおかしいぞと感じた。テレビコマーシャルや雑誌広告では5分で査定などや、電話でもおおよその金額を査定できるといっているので、実際には1時間もかかるというのはだいぶ誇大広告だなと思ったのだ。
しかし、こちらも大人であるから、この程度の誇大広告はこの国では日常茶飯事であるので、そこで食いかかってもしょうがない事だと諦めてしまった。
午後に車で向かわないといけない仕事があり、時間は30分しかない事、車両事態は問題ないから、その場合のおおよその標準的な査定額だけでいいからまずは教えてほしいことを伝えた。すると、その時間で査定させていただくという事になり、すぐにもう一人の営業マンを呼び出し、査定に取り掛かった。そのもう一人のダサダサの安っぽいスーツを着た男性が査定をしている間に、この中古車買い取り店のシステム説明をさせていただきますという事で席につくこととした。

営業マン「当社ではオークションシステムを通じてお客様の車両をセリにかけることで、高く買い取る事ができます。オークションシステムは全国の中古車屋さんが見ているので、日本中で最も高値をつけた中古車屋さんが買う事になります。ですので、最低この金額であれば売ってもいいという金額を御提示していただいてセリにかけることになります。最低でもいくらなら、という金額はあるでしょうか?」
私「近所のディーラーでの下取り査定は35万円でしたので、これ以上は欲しいと思ってきました。オークションに出品するにあたって、ヤフーオークションのように手数料などは私が払うのでしょうか?」
営業マン「それくらいであれば十分超えられると思いますよ。手数料などはかかりませんので万が一売れなくてもお客様の負担は一切ありません。」
私「そういうことなら、程度も走行距離がまだ1万キロ台ということもあって自身があるのでとりあえず50万円くらいで出してもらえないでしょうか?だめだったら、下げようと思います。」
営業マン「それは結構厳しいと思いますよ。」
私「もし、誰も買わないような高値で出品した場合、どれくらいの期間、オークションに出ている事になるのでしょうか?納車予定日が2週間後に可能うという事だったのでそれまでゆっくり出しておいて高く買ってくれる人を見つけるのも探してみたいのですが?」
営業マン「オークションに出品すると新着のものしか皆さん御覧になりませんので、一時間以内には商談がつくことがほとんどです。それ以上の時間がかかった場合、目に触れるチャンスが少なくなり成立可能性はほとんど無くなってしまいます。」
私「えーそんなに早く、決まってしまうんですか。今日は土曜なので、中古車屋さんがおおく見ることのできる平日の方がよさそうですね。今日はもう時間が無いので出直してきます。」
営業マン「いえいえ、中古車屋さんは、多くの方がずっとこのオークションシステムを見ているので関係ありませんよ。」
私は話が思っていたよりもややこしいために、時間がかかりそうだと感じ、査定が終わったころに席を離れ、車を見に行った。
私「どうでしたか?」
営業マン2「とてもきれいに乗られているので特に問題ありませんでした。」
私「それで査定額はいくらでしょうか?」
営業マン「オークションシステムなので査定額というのをこちらから提示していないんですよ。この金額で売ってもいいと言う価格に近い入札をしていただいた金額が買い取り額になります。」
私「えっ?そうなんですか?最低落札価格ではなく、ヤフオクでいうところの希望落札価格を設定することになるんですか?もし、その設定額に達しない場合は入札額によっては売らないという選択もできるんですか?」
営業マン「私もヤフオクをしているので、よくわかります。いうなれば希望落札価格ということになりますね。でも、御安心を希望落札価格に達した場合は売るという契約が成立しますが、それ以下の場合は御相談させていただいて売らないということも可能です。」
私「では、とりあえず希望落札価格を60万円で出してみてください。夕方仕事が終わってからまた伺いますので。」
営業マン「では、この書類に金額を書き込んでいただき、署名捺印をお願いします。」
私は仕事に遅刻しそうだったが、ざっとその契約書に目を通した。60万円以上の場合は絶対に契約後は解約できない事が色々と書かれている内容だったが、それ以下の場合は適応されないルールのようだった。金額を書き込みあわてて店を出た。

最低落札価格や出品スタート価格ではないから、35万円を大きく超える価格をつけてくれる人がいればいいなと期待しながら、午後の仕事へ向かった。 

 

買い取り店にて、オークションシステムへの出品依頼の書類にサインし、仕事へ向かった。
仕事中も、いくらくらいまで入札額がつりあがっているのか気になって仕方がなかった。
35万円のディーラーの見積もりは低すぎるように思えたから、プラス5万円か10万円になれば満足と思っていた。

仕事を終え、午後7時ごろの閉店間際の買い取り店へ車を飛ばして向かった。

私「どーも、私の車、どうでした?」
買い取り店営業マン「イヤーぜんぜんだめですね。入札はいっていません。希望額が高すぎるせいでしょうね。先ほどはお急ぎでしたので説明を省きましたが、こういう相場の本を参考にしてもう少し下げてやってみましょう。」
分厚い電話帳のような本が出てきて、今月号とされたその本の該当車種年式グレードを見せられた。
そこには35〜45万という記載があったのである。
ディーラーで提示された金額は相場での下限であり、+10万円くらいはアップする可能性があるらしいということだ。
私「では、45万円で来週お願いしましょう。」
買い取り店営業マン「買い取り相場というのは一日一日下がっていくので急いだ方がいいですよ。今日中に決めてしまいましょう。」
私「えっ?でも、もう7時を回っていますからオークションできないでしょう?明日は日曜日ですし?」
買い取り店営業マン「いえいえ、いまでも、大勢の中古車屋さんが当社のオークションシステムをパソコンの前でご覧になっておられますので、ほとんどの場合、5分もあれば成約しますよ。では、ここにサインをお願いします。」
私「驚きました。ではお願いします。ただ、納車の日にあわせてしか車は手放せないのでそれだけは相手の中古車業者さんにも念を押して出品してください。2週間後という事です。」
買い取り店営業マン「ええ、もちろんそうさせていただきます。大丈夫ですから。」
私はお昼に金額とサインをした同じ書類に金額を二重線で消し、訂正捺印し、新金額の45万円を記入し、横に再度捺印をさせられた。

買い取り店営業マン「では、早速、訂正してまいりますのでしばらくお待ちください」
そういって、二回の目に届かないスペースへ行ってしまった。
わたしは、期待に胸を膨らませ待っていた。

数分して、買い取り店営業マンが戻ってきた。
買い取り店営業マン「いま、出品してきました。いましばらくお待ちください。」
私はそこで、この買い取り店のオークションシステムについて不思議に思っていた点を質問しはじめた。
私「あのーオークションシステムで車を売るわけですけど、売れた場合、いくらがそちらの手数料として取られるのでしょうか?私の場合45万円で売れたとして、おたくにはいくら払わないといけないのですか?」
買い取り店営業マン「ああ、その心配は要りませんよ。45万円で売れた場合は、そっくり全額お客様にお支払いされます。」
私「えーそうなんですか。それはうれしいですね。しかし、でも、それではお宅様の会社は何も儲からないじゃないですか?」
買い取り店営業マン「ええ。車の売買自体では当社は一円も儲かりません。オークションシステムを中古車業者さんに使用してもらう際の使用料を毎月5万円程度いただく仕組みです。何千何万という業者さんが加盟していますのでそれで安定した収益が得られるのです。」
私「システム自体で儲けているわけですね。それはすごいですね。5万円かける1万件として、月に5億円、年間60億円のシステム利用料が入るわけですね。」
買い取り店営業マン「はい。実際にはもう少し、多いです。」
私「しかし、それでは、車を買い取らなくても利益が出てしまうのでやる気がわかないんではないですか?」
買い取り店営業マン「いえ、いえ。とんでもありません。月の成約台数が少ないと看板を取り上げられてしまうので、毎月必至の思いです。そろそろ、入札があったかもしれません。見てきます。」

買い取り店営業マンは二階の奥まった部屋に行き、すぐに戻ってきた。

買い取り店営業マン「よかったですね。入札がありました。今、40万円で入っています。これで手を打たれてはどうでしょうか?」
私「そうですか。関心を持ってくれている業者さんはどれくらいあるんですか?」
買い取り店営業マン「今三件の方が競り合って40万円になっていて停滞しています。これ以上は難しいと思いますよ。」
私「まだ、15分ほどしかたっていないので、もう少し待ちましょうよ。本当に欲しければ後5万円くらい出すのではないでしょうか?」
買い取り店営業マン「わかりました。では、40万でのオファーは受けられないと返事してまいります。」

そう言って、彼はまた二階へ上がってしまった。すでに夜8時近くになっている。別に今日決めなくてもいいし45万になるかもしれないという感触はつかめたから、出直そうかと考えていた。

5分もたたずに買い取り店営業マンは戻ってきた。

 

買取店営業マン「41万円ではどうでしょうかと言ってきています。」
私「そうですか、ルーフキャリヤー一式もどうせ買い替えで使えなくなってしまうので、付属するから45万でどうですかと交渉してみてください。だめなら今日はもう遅いのでまたで直します。」
買い取り店営業マン「わかりました。」

買い取り店営業マンは、また二階へ行った。面倒なものである。客の前にもシステム説明用のパソコンが置かれているのだからそれで目の前でやればいいのにな、と思いながら8時を回った店内で待っていた。テレビCMでは5分だか15分だかで買取してくれるはずじゃなかったのか?今日はもう2時間くらい、ここですごしているぞ!と思うとだんだん腹が立ってきた。

また買い取り店営業マンは戻ってきた。
買い取り店営業マン「43万円で限界だそうです。どうでしょうか、決めてもらえないでしょうか?」
私「これほど短時間に値段が上がるという事はよほど、欲しがっているという事でしょうね。45万でだめなら、今日はもうこれで終わりにしましょうとお伝えください。」
買い取り店営業マン「えーそうですか?なかなか、厳しいですね。もう一度かけ合って来ます。」

買い取り店営業マンは、また二階へ行った。このやり取りにも本当にうんざりしてきた。さあもう帰ろうと、帰り支度を始めた。

そして、5分ほどで買い取り店営業マンは戻ってきた。
買い取り店営業マン「45万で決まりました。」
私「そうですか、決まらないと思っていたのですが意外ですね。」
買い取り店営業マン「商談成立となりましたので、書類手続きをお願いします。」

買い取り契約書に言われるがまま記載し判をついた。
終わった頃には9時近くになっていた。
そして、全てが終わったと思ったころ、私を怒り心頭させる一言が営業マンの口から出たのだった。

 

買い取り店営業マン「あのー、そこで、お車のお引渡しですけど、なるべく早く、できれば明日にでもいただきたいのですが?」


はあ??その言葉を聞いた時、私の頭の中はクエスチョンマークでいっぱいになった。私の眼球は、目の前の解約には簡単に応じないために買い取り店にきわめて有利な文言で武装された契約書の条項を繰り返しスキャンしていた。車の引渡しは、次の車の納車整備が終わる2週間後となる旨は何度も確認し、それでかまわないという事だったはずだ。それも今日、目の前にいる同じ買い取り店営業マンに確認してものことだ。私は、ごく当たり前の反応をするだけだった。

私「引渡しは2週間後になると、言ったはずですよね。どういうことでしょうか?」

買い取り店営業マン「そうですが、ディーラーからの購入であればあちらで代車を用意してくれますよ。相談してみてくださいよ。中古車の値段は一日一日下がっていくものですから早く引き渡していただかないとこちらとしては困るんですよ。」

私「そういうことであればお話が違うので、無理です。無かった事にしましょうか?」
私は表面上は冷静を装っていたがはらわたは煮えくり返っていた。このような契約というものが簡単には解除できない事は重々承知の上だったし、納車の日取りについては口頭のみの約束だったので、いろいろ、不利になるかもしれないことも承知だった。契約の解除に素直に応じる可能性はほとんどないと思っていたが、思わず口が止まらなかった。

買い取り店営業マン「そうですか。それであれば仕方がありませんね。納車は二週間後という事でここに日付を記入していただきます。」

私は引渡し日の日付を二週間後のものとして記入した。それで長い一日がやっと終わり、買い取り店から開放されたのは9時を過ぎた時刻だった。2時間以上も話しが求まるのに時間を要したのである。

帰り際に、私は尋ねた。「もし、今日契約がまとまらなければ、来週再出品した方が、もっと高くなったかもしれませんね?」

買い取り店営業マン「当社のオークションシステムでは、一度出品された車両は、再出品は二週間後となっていますので、それはできないですよ。成約しなければ、価格を変えての再出品は二週間後となってしまいますので、また相場が下がっているものです。車の価値は一日一日下がるものですから、今日決まってよかったと思いますよ。」

私「そうですね。ありがとうございました。ディーラーでの下取りよりは10万円も高く決まったのでとてもよかったです。」

そう話し、家路に着いた。家に帰りその買い取り店の情報をインターネット調べるまでは、色々あったが10万円アップした事に満足していたのだった。しかし、その買い取り店のインターネット上での情報は、私を震撼させるものであった。

 

私は、家に帰り、妻に車が45万円で売れたよと誇らしげに話した。
そして、インターネットで自分の車の相場を今一度調べて見ることにした。
私の車の条件の場合、売値の相場はおよそ70万円から80万円台であったから、だいぶ販売店の儲けというものがあるもんなんだなと、感じた。もしかしたらもう少し高く売れたかも、という思いも生まれてきた。しかし、まあ、いいじゃないかと思い直し、今日の買い取り業者の評判を調べてみる事にした。

そこで、検索にかかってきた情報は、驚愕する内容のものばかりであった。
まず、極めて評判が悪い事はまちがいなかった。私のケースは典型的なその買い取りチェーンのやり口で、ほとんど詐欺に近い行為という事も判明した。

どこがどう詐欺に近いのかを詳しく解説しよう。

はじめに違和感を感じたのは買い取り査定なのに買取額を店側が言わずに、客に決めさせるというシステムだった。これは、明らかに広告の内容と違っていた。インターネットのホームページでも再確認したが、中央のシステムに常駐する専門スタッフが、査定時のチェックリストを元に迅速に10分くらいで査定額を提示するという宣伝内容であった。そこにはオークションシステムにかけるだの何だのややこしいシステムの事は一切かかれていなかった。この点については実に多くのこのチェーン店の買い取り体験者が口をそろえて疑問に思い、掲示板等に書き込みを行っていた。私と同じく、長々とオークションシステムに付き合わされた体験者がたくさんいたのである。真偽は不明であるが、内部告発者という人物はこのオークションシステム自体が存在しないもので、入札があったとか、何とかというやり取りは全くの茶番という情報まで複数発見できた。私が体験し記述した、この買い取り店のやり口というのは完全にマニュアル化されているもので、全国で同じような手口で運営されているという事も分かった。

私が2度目の出品をする際に見せられた相場情報の雑誌も、全てそのチェーン店オリジナルの雑誌でありその内容はとにかくとことん安く買い取る為に相場の下限も下限の数値となっているという記述もあった。これを見せて、客自らが相場よりも安い値段で売りたいといわせるのが手口だというのである。

この買い取りチェーン系列ではとにかく来た客は車を売るまで帰さないというのをモットーにしているらしく、持ち込んだ客の車両をわざと奥の方に移動して、店の車でブロックして帰れなくするという手口もマニュアル化しているらしい。事実、今思い返してみると、初めの来店のときにも2度目の来店のときにも私の車は出やすいところにとめていたのに、他のお客さんの車が入りにくくなるから移動してくださいといわれて奥のほうに店の従業員が移動した。そして、もう帰るとなったら、店の従業員がブロックするようにして止めてあった車両を動かしたのである。そのブロックしてあった車は客の車ではなかった。なぜなら、私以外に客はいなかったから分かった。私は自分の車を勝手に運転されるのを極端に嫌がる神経質な人間の為に、こういうことは癇にさわってよく覚えていた。最後に商談が決まり、帰るときにも大きな車がブロックしていたのでどくのを待たなければならなかった。極めて、陰湿な心理作戦を店側は行っていたのである。

他にも色々細かい心理戦があるようであるが、私が実際に体験したもの以外を書くのは余り意味が無いので辞めるが、実に色々と馬鹿げたマニュアルで客を不愉快にし、安く買い叩く手法を実践しているようである。それくらい汚くやっているから急成長してきたんだと、いう意見さえも見られた。

これだけ、わかって、私は完全に戦闘モードに入った。相手は 全国チェーンの大手買い取り店、しかも、契約書は相手に有利な事ばかり書き綴られた極悪な内容で、私はそれにサインし捺印までしている。この戦いは容易には勝てないものと社会人で契約というものを知っている私には十分に分かっていたが、男には、戦わないといけない時が有り、社会正義として絶対にこの会社に車を売りたくない!という決心をしたのであった。

 

どうやれば、私は、車を売り渡すという契約を解除できるのか?
当然無条件解除が、希望である。
そんなことは、契約書を読めば読むほど、不可能に思われる。

しかし、あの中古車買い取り店はひとつだけ、決定的なミスをしている事に私はすぐに気が付いていた。
実は、インターネットでその会社について調べる以前に、45万円の契約をした数分後には、決定的なミスに私は、あの買い取り店の店舗で営業マンとの会話中に発見していた。それでも、素直に帰ってきたのは、そんな事でごちゃごちゃ言ってもしょうがないし、高く買い取ってくれたという結果に対して満足もしていたからだった。

このブログの内容をきちんと読まれてきた聡明な読者は、おそらく気づいているに違いない。気づかなかった読者はもう一度よく読み返してみることをお勧めする。

そういうことで、私には既に勝算があり、契約解除、無条件解除の交渉に挑むことになるのであるが、決定的なミスの詳細については、記述を勧めていくうちに明らかにしていくほうがいいだろう。

決定的なミスがあるとはいえ、相手は一流大企業である。油断は禁物で、あらゆる問題点を突いて、私に有利になるように交渉を進める必要があった。

まず、手始めに、その企業のお客様相談室に相談してみる事にした。

お客様相談室へは、まだ車を引き渡す前であり、契約は2日前に行ったばかりである事。引渡し期限は2週間後である事を説明し、その状況で気が変わったので契約解除ができるかという相談を行った。大企業にしては少したどたどしい対応の対応してくれた女性は、あっけなく、それは普通できると思いますよ。と返答したので私はあっけにとられてしまった。そういうことであれば、ごちゃごちゃともめる必要もなく、総合的な意味で気が変わったと言う理由で契約は無かった事にしてもらいたいから、お客様相談室としても私の契約をしたその支店に契約解除したい旨と契約できる旨を伝えて欲しいと依頼した。これについても、あっけなくOKと言う事になった。

私は、きっと買い取り店の営業マンから連絡が来るだろうとその日一日携帯電話を手放さないようにしていた。しかし、朝一番にお客様相談室に連絡したにもかかわらず夕6時まで待っていても、連絡は来なかった。私としても、契約解除できると決まらないと別の売却先を安心して探す事もできないので早くけじめをつけたかったので、夜7時に耐え切れず、自ら中古車買い取り店へ電話した。

 

私は中古車買い取り店へ電話した。

私「あのーすみません、そちらで先日車を売ることにした者ですが、店長さんにご相談したいことがありますので、店長さんをお願いできるでしょうか?」
中古車買い取り店の受付女性「はい、少々お待ちください。・・・・・今接客中なので、こちらからかけなおさせたいのですがよろしいでしょうか?」
私「そうですか。少しならこのまま待ちますが、だいぶかかりそうでしょうか?」
中古車買い取り店の受付女性「そうですか、ちょっと聞いてきます。・・・・・今終わったそうですので代わりますね。」

店長「どーも。お世話になっています。」
私「X日に、車を売る契約をしたXXXという者ですが、契約について解約したいと思いまして電話しております。先にそちらの会社のお客様相談室に連絡し解除できそうだという回答をいただき、店長さんにものお客様相談室から連絡しておくと言っておられたので、お話は伝わっているでしょうか?」
店長「あーそうですか。少々お待ちください。お調べします。」
店長「***(車名)の件ですよね。弊社のお客様相談室から確かに承っておりますが、すでに売却が終了しまして・・・」
私「すみませんが、xxx(車名)なのですが?」
店長「え、そうですか。間違えていますね。えっもう一度お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
私「XXXと申します。担当者はXXという方でした。」
店長「えっと、今、契約書を探しますので少々お待ちください」

店長「えーっと、それで、すみませんがこの件についてははじめて知らされまして、どういうことで契約を解除したいという事でしょうか?基本的には契約書にありますように一度、成約した場合相手側の業者への違約金等々でお客様に不利になりますが?」

私はすんなりいくかもと期待していたが、相手は、ああいうやり方だから私以外にもトラブルを抱えている客がいるらしいことが判明し、そう甘くは無いと感じた。

私は、難しい交渉になりそうだと店長の対応から感じ取った。ここは理詰めで一つ一つ解約したい理由を説明し、もし最悪の場合、中古車買い取り点側に訴えますよといわれたとしても、受けてたちましょうといえるだけの状況だという事を相手に認識させるしかないと思った。

私「解約したいというだけでは簡単に解約に応じるわけにはいかないということですね?」

店長「こちらとしましても、相手、つまり、車をもう買うという契約をされたお客様との関係もありますので、損害賠償等も発生する事もございますので、一度契約された場合は解約には応じない方針です。契約書にもその旨かかれていますし営業マンも十分にその旨は説明したかと思いますが?」

私「確かにそうですね。では、いまから、解約したい理由を数点申し上げますので、それに納得のいく回答があれば、解約を撤回させていただきますので、今この電話でその説明をさせてもらってもよろしいでしょうか?」

店長「ええ、もちろんです。どうぞ。」

私「第一に、貴社の雑誌やインターネット上のホームページでは買い取り査定額を短時間に買い取りセンターを通した査定によって高額査定するという内容の広告が行われていますが、私が先日来店したときにはオークションシステムでの売買仲介ということで、出品額を自分で決めるということで、査定額の提示をいただけなかったのですが、どういうことでしょうか?」

 

店長「そうでしたか。当社では査定方式とオークション方式の両方ありまして、説明した上でどうされるか説明するように指導しているのですが、オークション方式の方が高値で売却する事ができるのでほとんどのお客さんがそちらをお選びになるので説明を省いてしまったのかもしれません。」

私「そうですか、では私は損はしていないという事ですね。」

店長「そうです。オークションシステムの方が高く買い取りする事ができます。」

私「では、次に、車の引き渡しの時期についてですが、オークションにかけてもらう前に再三、次の車の納車整備が終わり納車されるのが2週間後だから、引き渡しは2週間後になると念を押して契約したのですが、売却成立後に手のひらを返したようにすぐに引き渡しをしてくれと迫られたために大変不信感を持っています。」

店長「そうだったんですか。申し訳なく思います。社員への指導が行き届いていませんでした。それで、引き渡しについては契約書によると結局は2週間後でという事になっていますね。」

私「わたしが、どうしても無理だといってそうしてもらいましたが、車を買う店から代車は用意してもらえるはずだから早く引き渡してほしい等いろいろとしつこかったですよ。」

店長「それはすみませんでした。」

私は相手がすみませんと丁重に謝罪するものの契約を解除できる程の理由にはなっていないという言い訳を巧みにしている事にきづかずにはいられなかった。それで最後の切り札、決定的な相手のミスを指摘する事にした。

私「私は確かに契約しました。しかし、契約の過程で納得がいかない事があるので説明してください。具体的に申しますよ。私がサインした契約書と、オークションシステムへの出品契約書をお手元にお持ちですよね?」

店長「ハイ手元にあります、対応した営業マンも隣に座らせ話を聞かせています。」

 

私「まず、確認したいことがあります。そちらのオークションシステムでは一度出品すると、契約が成立しなくても、2週間は再出品や出品価格の変更はできないと説明を受けたのですがそれで間違いないでしょうか?」

店長「はい。そのようになっています。」

私「では、私が契約した日のお昼頃に初めにそちらに伺ったときに、だめもとで60万円で出品を依頼し、出品の契約書に母音を捺印している書類はあるでしょうか?」

店長「はい。しかし、60万円で出品依頼書にある部分は訂正印が押され45万円に修正がされています。」

私「そうですよね。昼に60万円で出品依頼ました。で、夜に尋ねるとまだ入札が無いということで45万円に値段を下げたんです。入札があって、45万円で売買成立後に、もし、もう少し高めに設定していれば、もうちょっといけたかもね?と営業マンに聞いたところ、先ほどの2週間は再出品できないとルールをはじめて知らされ、そういうことだから余り高値にして流れると売るタイミングを逃すからベストな価格設定だったという説明を受けたのです。」

店長「そういうことです。」

私「いえ、いえ。私が問題にしているのは、昼に60万で依頼したのに、なぜ夜に45万円に価格修正できたのかという事です。説明と矛盾していますよね。」

店長「あーちょっと営業マンに聞いてみます。                                       確かに昼に60万でお客様に出品を依頼されましたが、この価格では厳しいと思い、お客様が価格修正できなくなるのを心配して実際には出品はしなかったという事です。」

私「立ち会って契約書に金額を記入させて、捺印までさせておいて、出品しなかったという事は契約違反ですよね。営業マンは夜の私が際訪問した際に入札はどうでしたかと聞いたところ、全然入札はありませんね。とわざわざパソコンを調べにいって返答したのですよ。あれは全くの嘘という事ですよね。もし、出品していればもう少し高値で売れた可能性もゼロでは無いと思いますので、あくまでも可能性という意味ですけど、ああいういい加減な契約の仕方でなし崩しというのはだいぶおかしいと思ってしまうのですが。」

店長「                         誠に申し訳ありません。お客様には申し訳ないのですが、当社としても入札していたお客様がいる手前、契約を解除という事になれば損害賠償が生じてしまいます。そこで、お願いなのですが、おいくらほど金額をプラスさせていただければ、お車をお譲りしていただけるでしょうか?」

相手は、ついに契約を解除するに相当する理由があることを認識したのだった。

私「ようやく話が、伝わったようでよかったです。私としてはこういう理由ですので、今回の取引はなかったことにしていただきたい。」

買い取り店店長「そこをどうか、お願いいたします。ぶっちゃけいくら上乗せなら、お車を売っていただけるでしょうか?できるだけの事はさせてもらうつもりです。」

私「そうですか、では、いくら上乗せしようというのですか?」

買い取り店店長「お客様はいくらならよろしいでしょうか?」

私「そういう、何でもかんでも客に金額を言わせる対応が私は信用できないんですよ。査定するといっておきながら金額を提示せず、客が決めた値段では出品せず、一体何がしたいのかわから無いから信頼関係が保てないといっているんです。」

買い取り店店長「そうですか、わかりました。相手のあることなので取引中止ができるかどうか、すぐに連絡して相談してみます。上乗せ金額についてはそれによって回答できるかもしれません。明日になるかもしれませんが、こちらから折り返し、電話させてもらってもかまわないでしょうか?」

私「御面倒おかけしますが、宜しくお願いします。連絡は携帯電話にお願いします。」

 

私は、中古車買い取り店側がいくら上積みしようとも交渉に応じるつもりはさらさら無かった。なぜなら、もし、上積みした金額で再契約したとしても、中古車買い取り店側は車両の引渡し後にいくらでも理由をつけて買い取り金額の金額を下げる事ができるワイルドカードを持っていることが契約書をよく読んで分かっていたからだ。つまり、車を査定するときに査定者が見抜けない問題点が、引渡し後に見つかった場合には、査定を依頼するときに記入した自己申告書に不実記載があったとして全てユーザーの責任となり、買い取り金額の引渡し後の減額やひどい場合には損害賠償までも可能となるような内容の契約なのである。

買い取り店側は、とりあえず高値で再契約後、引渡し後にそれこそ初めの契約金額よりも低い金額を再提示してくる事が契約上は可能であるのだ。

信頼関係が無い間においてこのような一方的な契約というのは余りにも無謀である。したがって、私はいっさい取引に応じるつもりは無かったのであった。

翌日の昼頃に店長より携帯電話に電話が入った。
「この度は大変ご迷惑おかけしました。落札者の方と相談しまして、今回は無かった事にすることを了承していただけましたので、それで宜しくお願いします。」

私「あーそうですか良かったです。こちらこそいろいろと面倒をおかけしすみませんでした。」

買取店店長「いえいえとんでもございません。今契約に当たった営業マンがおりますので一言お詫びをさせたいのですが、よろしいでしょうか?」

私「そうですか。私は彼は優秀だと思いますよ。セールストークもうまいし、感じの良い方ですね。きっと、そちらでも成績の良い営業マンだと思います。ただ、やっていいことと悪い事があるので、それは注意したほうがいいとだけお伝えください。私は彼に恨みはありませんので、謝罪のお電話は結構です。」

中古車買い取り店側「そういっていただけるとありがたいです。申し訳ありませんが、お時間のあるときに契約書をお返しに来ていただければと思います。」

私「わかりました。明日にはお返しにいけると思います。」

こうして私の契約解除の交渉は無条件勝利したのだった。
しかし、私は、買い取り店に売るはずの車を売るあてなど何もなかった。中古車買い取り店のやり方にはうんざりしたから、自分で中古車屋を回って車を高く買ってくれないか交渉してみようかと思い至った。

まずやるべきことは、少しでも高く売れるように、購入したときの素の状態に車を戻し、徹底的にクリーニングしなくては。

 

私の車には7インチのカーテレビ、CDプレーヤー、ルーフキャリアを自分で購入し装備していた。それらを全てまとめて、45万円で先の買い取り専門店では買い取りましょうということであった。

まずそれらの装備品を外しばらばらにヤフーオークションで売却する事にした。カーテレビを装備していた為に傷が付いていたダッシュボードパネルは新品を3000円程度で購入して完全に修復した。外装周りも小さい傷もすべてコンパウンドで磨く事で消すことができた。たった1箇所だけえくぼが出来ていた場所があったがそれは治さなかった。自分でできる範囲でのことはやるが、業者に依頼してお金の掛かる修理は見あわないからだ。内装もカーペットを外し隅から隅まで掃除機をかけ砂粒ひとつ落ちていないように清掃した。カーテレビのダイバーシティアンテナはルーフに装備していたのでその接着部分を剥がすのには苦労したが、完全に粘着テープを除去できるまで懸命に作業した。

とにかく徹底的に掃除し、磨き上げ、私の車の仕上げは終わった。休日を丸々2日使った。

全て終り、車を見つめていると、いい車だなー、売るの止めようかなーと惚れ惚れしてしまった。それでも経済的な面で、手放さないと次のミニバンタイプの車を購入する資金的に厳しいから仕方が無いと諦めた。

車の仕上げが終り、私は同じような車を扱っている中古車店に飛び込みで車を買ってくれませんかともちかける事にした。車を売っているプロに素人の私が売りつけようというのだから、初めは相手にされないだろうと心配した。しかし、実際飛び込みで話を持ちかけると、どの業者も親身に相談に乗ってくれ、この金額ではどうかというところまですぐに提示してくれた。8箇所程度回って得られた回答は、最低が40万円。最高が45万円。平均40万円という所だった。45万円での買い取りを断ったので、もう少し高く売りたいなとおもったが、外した装備品をヤフオクで売れればこの時点で45万円以上には確実になっていた。

私は別の車買い取り店にも査定させてみようかと思った。私が経験したあの有名な買い取り店以外にも多くの買い取り店がある。そういうところではいくらぐらいを提示するのか、興味があった。他の所も奇妙なシステムが存在するのかにも興味があった。

車買い取り店に私は向かった。

 

私はテレビでもコマーシャルをしているような大手の買い取り店を数件尋ねてみる事にした。
その結果、わかったことははじめに当たったあの業者以外は、まっとうに買い取り金額を10数分で提示してくれたという事だった。金額は40〜53万円と開きがあったが、あの買い取り業者のように不愉快な駆け引きなどは一切無かった。ただ、最高額53万円の提示をした買い取り店は後日一日車を預かり、再審査後に決定するという事だった。

最後に訪れた業者は友人が車を売却するときに付き添った事がある業者だった。その買い取り店は個人経営でコマーシャルなどしない零細な業者だったので余り買い取り金額に期待はしていなかった。案の定、45万円でどうですかという話になってしまった。私はその買い取り店の店長の人柄には非常に好印象を持っていたために、これまでの経過を話し、53万円でという所があったのですが、できれはこちらで売る事ができればよかったなあということを話した。そういうことなら、これも何かの縁ですから、53万円でうちで買い取りましょうということになってしまった。店長の男気には感服し、驚かされた。私は店長の気が変わらぬうちにその場で、契約し車を置いていったのだった。

カーテレビは2万円、ルーフキャリアーは1.5万円、CDデッキは3千円でヤフーオークションで売る事ができた。これにより、トータル56.8万円を手にすることができた。初めのディーラーの下取り額は全て含めて35万円、買い取り店での額は45万円だったから、22〜12万円近く高く売却することができたのである。

この大きな収穫により、乗り換えの車の車両代金のほとんどをまかなう事ができた。買い換えた大型のミニバンはすこぶる好調で、現在までに所有して2年を経過しているが故障知らずであり、非常にいい買い物ができたと思っている。

人は車を売るときに、買うとき以上にシビアに、そして努力を払って望むべきである。お金持ちならいざ知らず、庶民的感覚からすれば10〜20万円という差は非常に多きい金額であるにもかかわらず、そのことを新しい車を買う事に意識が集中してしまい、目が届かなくなってやしないだろうか。特に悪質な中古車買い取り店もあることも注意すべきである。中車買い取りには知られざるワナが潜んでいる。そのワナにかかって大事な財産を安くで売ってしまうか、どうかは車を売る人の知識と努力にかかっている。

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-family:"Times New Roman";color:#666666'>これだけ、わかって、私は完全に戦闘モードに入った。相手は 全国チェーンの大手買い取り店、しかも、契約書は相手に有利な事ばかり書き綴られた極悪な内容で、私はそれにサインし捺印までしている。この戦いは容易には勝てないものと社会人で契約というものを知っている私には十分に分かっていたが、男には、戦わないといけない時が有り、社会正義として絶対にこの会社に車を売りたくない!という決心をしたのであった。

 

どうやれば、私は、車を売り渡すという契約を解除できるのか?
当然無条件解除が、希望である。
そんなことは、契約書を読めば読むほど、不可能に思われる。

しかし、あの中古車買い取り店はひとつだけ、決定的なミスをしている事に私はすぐに気が付いていた。
実は、インターネットでその会社について調べる以前に、45万円の契約をした数分後には、決定的なミスに私は、あの買い取り店の店舗で営業マンとの会話中に発見していた。それでも、素直に帰ってきたのは、そんな事でごちゃごちゃ言ってもしょうがないし、高く買い取ってくれたという結果に対して満足もしていたからだった。

このブログの内容をきちんと読まれてきた聡明な読者は、おそらく気づいているに違いない。気づかなかった読者はもう一度よく読み返してみることをお勧めする。

そういうことで、私には既に勝算があり、契約解除、無条件解除の交渉に挑むことになるのであるが、決定的なミスの詳細については、記述を勧めていくうちに明らかにしていくほうがいいだろう。

決定的なミスがあるとはいえ、相手は一流大企業である。油断は禁物で、あらゆる問題点を突いて、私に有利になるように交渉を進める必要があった。

まず、手始めに、その企業のお客様相談室に相談してみる事にした。